昨日のニュースで注目をあつめたものといえば、ゴーン元日産会長の件でしょう。
東京地方裁判所において、勾留理由の開示を求める手続きが行われました。
これは刑事訴訟法82条において規定されているシステムです。
82条1項には「勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。」と書かれています。
ゴーン元日産会長もこのシステムを使ったのです。
この場合、裁判長は勾留状に書かれている一般的な勾留理由を読み上げるだけだそうです。昨日のニュースでも、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるという理由を裁判長が伝えたと報じられていましたが、あくまで一般的な理由であり、具体的にゴーン元日産会長がどうこうということではありません。
そして、この勾留理由開示請求は憲法上も認められています。
憲法34条を見てください。
「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。」
この規定の後段(赤字部分)がそれです。
ちなみに抑留と拘禁だと、拘禁の方が長期的な身柄の拘束を意味しています。
勾留理由開示請求は実質的な意味はあまりなく、これにより勾留決定が取り消されることもほぼないといわれています。
ですから、なかなかこの請求をするケースはなく、昨日のケースはとても珍しいもののようです。
行政書士試験では、34条後段が過去2回条文そのままの形で出されています。
試験対策上は重要度の低い条文ですが、ひとつの事例として紹介してみました。
ゴーン元日産会長の主張が本当なのかは分かりませんし、特捜部の主張が正しいかも分かりません。
日産内部の主導権争いが影響しているという話もあります。
海外メディアも注目しています。
法廷で事実関係がどのくらい明らかになるか?
まだまだ予断を許さない事件です。