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Channel: 横溝慎一郎行政書士合格ブログ  
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新潟空港事件と10条1項について

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5月のガイダンス&開講情報

 

5月27日(日)

13時30分~ 合格講座民法(債権家族法)第1回 

※無料で体験受講できます。詳しくは渋谷駅前本校(0334645001)までお問い合わせください

16時30分~ ガイダンス(渋谷スピード学習クラスのご紹介が中心です)


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本試験まであと175日。


「あと140日の過ごし方」まであと35日。




第1次締め切りまで35日となりました。

時間は有限です。

いかに日々を充実したものとできるかを常に意識して行動していきましょう。

さて今回は、行政事件訴訟法10条1項についてお話しましょう。

取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。


この規定は、「本案審理」で問題になるものですね。

この規定を使った判決で有名なものに「新潟空港事件」があります。

そもそも「新潟空港事件」は新潟ソウル間の新規定期便が新たに就航することを認めた「定期空港運送事業免許処分」の取消訴訟において、周辺住民の原告適格を認めた判例として有名です。

免許処分の根拠法である航空法のみならず、その関連法規まで含めて検討し、トータルで周辺住民を騒音被害から保護する趣旨が読み取れるのであれば、
「単に飛行場周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするにとどまらず、飛行場周辺に居住する者が航空機の騒音によつて著しい障害を受けないという利益をこれら個々人の個別的利益としても保護すべきとする趣旨を含むものと解することができる」としたのでしたね。

ここまでは有名なので、きちんと知っていなければいけません。

そのうえで、本案審理の結果まで知っておくとよりよいでしょう。

というのは、この判決では周辺住民の原告適格は認めたものの、最終的には棄却されているからです。

なぜ棄却したのか?

そもそも、航空法のみならず関連法規まで広げて解釈することで周辺住民に保護されるとした法律上の利益はあくまでも「騒音によって著しい障害を受けない」というものです。

ところが、いざ免許処分の違法性を主張しようとすると、免許基準を定めた航空法の個別の規定に違反するということを言っていかなければいけません。

ちなみに基準を定めている航空法101条1項の規定は以下のとおりです。
国土交通大臣は、前条の許可の申請があつたときは、その申請が次の各号に適合するかどうかを審査しなければならない。
一  当該事業の計画が輸送の安全を確保するため適切なものであること。
二  前号に掲げるもののほか、当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。
三  申請者が当該事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること。
四  国際航空運送事業に係るものにあつては、当該事業に係る航行について外国との間に航空に関する協定その他の国際約束がある場合における当該国際約束の内容に適合する計画を有するものであること。
(以下略)
見てもらうとわかると思いますが、これらの規定のなかに具体的に「騒音によって著しく被害を受けない」ということをうかがわせる規定はありません。

つまり、具体的に免許基準に適合しないことを主張すればするほど、周辺住民に保護されているとされた利益から離れていくのです。

その結果、「自己の法律上の利益に関係のない違法を理由」として取り消しを求めているとされてしまったのです。

10条1項は本案審理における「高い壁」として存在している。そんな感じでしょうか。

ちなみにこの規定は択一では過去2回出されています。


人はいろいろな考え方があり、それを支持する人たちがどんなに少数派であっても尊重していく。

これが憲法13条が定める「個人の尊厳」です。

ネット上には残念ながらその精神が欠片もない輩が跳梁跋扈しています。
まさに魑魅魍魎の世界です。

その正体は、40代以上の一見分別ある善男善女であることが多いと言われています。

なぜその年代かはよくわかりませんが、そういった人たちは匿名で発言していることが多く、それが無責任な発言を増長させるのは確かですね。

まずは、自分が「これが普通でしょ」とか「これ常識じゃない」「みんながやってる」と思うことを疑うことから始めましょう。

それが「自分の頭で考える」ということだと思っています。


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