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行政書士本試験まであと96日。「記述対策の基本のキ」を知っておこう

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行政書士本試験まであと96日。

しつこいようですが、出願は早めにすませるのが吉です。

今週中には終わらせてしまいましょう。

さて、今回は「記述対策」についてお話しします。

■ 記述式問題って?

記述式の問題というのは、

「A市は、同市内に市民会館を設置しているが、その運営は民間事業者である株式会社Bに委ねられており、利用者の申請に対する利用の許可なども、Bによってなされている。住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼び、また、その設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関によりどのような形式で決定されるか。さらに、同法によれば、その運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか。40字程度で記述しなさい。(2014年問題44)」

といったように、設問に対して40字程度で解答を作成するものです。

2006年の試験制度改正以降、出題されるようになりました。

字数については、解答のマス目が45字分ありますので、最大45字までは書いてよいことになっています。

配点は1問20点で、3問出題(行政法1問、民法2問)されます。

採点においては、部分点がつきますので、目標は3問合計で36点。実際は30点以上取れれば合格ラインと考えてください。

2014年度の試験では、

「Xは、甲土地をYに対して売却する契約(以下、「本件契約」という。)を締結したが、Xは、本件契約時において、売却した甲土地はAが所有するものであってXに属しないことを知らなかった。その後、Xは、Aに対して甲土地の売却を申し入れたが、拒絶されたため、結局、その所有権を取得してYに移転することができなかった。このような場合において、善意の売主Xは、買主Yに対し、本件契約を解除する旨の意思表示をしたい。解除にあたって、本件契約時に甲土地の所有権がXに属しないことについて、Yが悪意のときは、どのようなことをし、Yが善意のときは、それに加えてどのようなことをすればよいか。「Yが悪意のときは、」および「Yが善意のときは、それに加えて、」に続けて、民法の規定を踏まえて、それぞれ10字~20字程度で記述しなさい(「Yが悪意のときは、」および「Yが善意のときは、それに加えて、」は、記述すべき字数に含まれない)」(2014年問題46)

といった、二つの文章を書かせる問題もはじめて出されました。

■ 出題分野と出題内容は?

出題分野をみてみましょう。

行政法は行政事件訴訟法が中心で、行政手続法、行政法総論、地方自治法が1問ずつ。

一方民法は債権分野が中心ですが、総則、物権、相続法からも出されています。

問われている内容は、民法は条文知識が中心。判例のフレーズを書かせる問題もおいてかつてはだされましたが、ここ5年では、出題は見られません(2010年問題46では509条の趣旨を判例の立場で書かせる問題はでています)。
もちろん、「どのような要件において、どのような請求ができますか」というタイプの問題もだされています。

行政法は、基本的な条文知識が中心。択一や多肢選択で出題されている内容がほとんどです。誰も書けないような突飛な問題が出されたことはありません。

■ 最近の傾向にあった対策とは?

最近の問題は、「どの機関によりどのような形式で決定されるか。さらに、同法によれば、その運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか。」といったように、書くべきことを指定してくれているものが多いです。

これは採点しやすくするための工夫だと思いますが、私たちも問題の指示に従って解答を作っていけばよいので、楽ですね。

つまり「〇〇という機関により〇〇という形式で決定される。そのような団体は〇〇と呼ばれる。」というフレームを作り、3か所の〇〇に入る用語を確定させればよいのです。

こういった問題の作り方は今後も続くと思われます。

だとすれば、日ごろの勉強においてもこの〇〇に入る用語が出てくるかどうかを確認していけばよいということでもある。

こういった確認をするにあたり、役立つのは「答案構成」です。

問題を読んで、その問題で何を書いてほしいのかを読み取り、書くべきことを箇条書きでよいので書き出してみる。

この「答案構成」に慣れていくことが、記述の解答を的確に書くために必要なのです。

たとえば、冒頭に示した、2014年問題44をもう一度みてみましょう。

「A市は、同市内に市民会館を設置しているが、その運営は民間事業者である株式会社Bに委ねられており、利用者の申請に対する利用の許可なども、Bによってなされている。住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼び、また、その設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関によりどのような形式で決定されるか。さらに、同法によれば、その運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか。40字程度で記述しなさい。」

まず市民会館のような施設のことを地方自治法上なんと呼ぶのか?

これは択一知識として出てくるようにしておきたい。

もちろん「公の施設」ですね。

条文はこちら。

「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。(244条1項)」

そして、公の施設の設置に関する事項は、「条例」で決めます。

「公の施設といえば条例」ですね。

条文でも「普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。(244条の2第1項)」と定めています。

条例は「議会」が定めます。

また問題文では、A市の市民会館は民間事業者である株式会社Bにゆだねられているとされています。

このような民間事業者のことは「指定管理者」といいますね。

「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。(244条の2第3項)」

以上の知識がスラスラ出てくる状態になっていれば、この問題は20点取れるレベルのものです。

なお公の施設自体、本試験の択一問題でよく問われています。

たとえば2011年問23では指定管理者で1問出ています。

「地方自治法の規定する公の施設の指定管理者についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 指定管理者として公の施設を管理する法人の指定は、条例自体によってなさなければならないこととされている。
2 公の施設の利用料金は、地方公共団体の収入とされ、指定管理者には普通地方公共団体から委託料が支払われることとされている。
3 公の施設の利用料金は、地方公共団体が条例で定めることとされ、指定管理者が定めることはできない。
4 公の施設の使用許可などの行政処分は、地方公共団体の長が行わなければならず、これを指定管理者が行うことは認められていない。
5 指定管理者による公の施設の管理の基準及び業務の範囲その他の必要な事項は、条例で定めることとされている。」


■ 最大の記述対策は、「択一知識の充実」

このように何を書くべきかの抽出がスムーズにできるようになるためには、しっかりとした択一用の知識が備わっていることがなによりも大切です。

だから、択一対策をしっかり固めることが先決なのです。

そこを飛ばして記述対策をやったところで、成果は上がらないでしょう。

また記述は採点基準に「安定性」がありません。その結果、得点の予測可能性も非常に低い。

結局、その年の受験生の記述以外の出来次第で、採点基準は上下するという、恣意的な運用が行われているのです。

だとすると、記述の得点に頼ったかたちの合格戦略というのは、不透明な部分が多くなってしまうだけに、取るべきではないということになりますね。

まず記述を除いた240点で160点以上を取れるようにしていくこと。

そして記述式の得点は、あくまでも「補完材料」としてとらえること。

そのことを忘れないでください。


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